ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
王妃の離宮を出て、迷うことなく王城内を進む。
王太子用の執務室横の応接室にたどり着くと、ジークヴァルトは、リーゼロッテを抱き上げたまま、器用にその扉を開けた。
一人がけのソファに、抱えていたリーゼロッテをそっと下す。ぽすん、とソファに収まったリーゼロッテだったが、まだぼんやりとしている様子だった。
ふいに、リーゼロッテのおなかが、くぅ~きゅるると可愛らしい音をたてた。
(力を使うと確かに腹が減る)
子供のころに覚えのある感覚に思い当たると、ジークヴァルトは、テーブルの上に置いてあった菓子の中から、クッキーを一枚、手に取った。それをいまだ放心状態のリーゼロッテの口元にもっていこうとして、ジークヴァルトはその手を一度止めた。
ぽきりとクッキーを半分に割って小さくする。割ったクッキーをリーゼロッテの口元に差し入れると、小さな口の中にするするとクッキーが入っていった。
王妃の離宮を出て、迷うことなく王城内を進む。
王太子用の執務室横の応接室にたどり着くと、ジークヴァルトは、リーゼロッテを抱き上げたまま、器用にその扉を開けた。
一人がけのソファに、抱えていたリーゼロッテをそっと下す。ぽすん、とソファに収まったリーゼロッテだったが、まだぼんやりとしている様子だった。
ふいに、リーゼロッテのおなかが、くぅ~きゅるると可愛らしい音をたてた。
(力を使うと確かに腹が減る)
子供のころに覚えのある感覚に思い当たると、ジークヴァルトは、テーブルの上に置いてあった菓子の中から、クッキーを一枚、手に取った。それをいまだ放心状態のリーゼロッテの口元にもっていこうとして、ジークヴァルトはその手を一度止めた。
ぽきりとクッキーを半分に割って小さくする。割ったクッキーをリーゼロッテの口元に差し入れると、小さな口の中にするするとクッキーが入っていった。