僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい

「お帰り、お母さん! え、何でお兄さんと、疫病神がいるの?」

 姉ちゃんが玄関に来て、俺達のことを出迎えた。
「誰が疫病神だって?」

 紫月さんはすぐに、姉ちゃんの呼び方に反応した。

「お義父さん、俺は大丈夫だから」
「姉に疫病神なんて言われて、傷つかない弟がいるわけねぇだろ!」

「気持ち悪」
 汚いものを見るかのような目つきで俺を見上げて、姉ちゃんは呟いた。

「え?」

「どうしたら赤の他人をお父さんなんて呼べるようになるわけ。思考が理解できないんだけど」
 心臓に毒針が刺さったような気がした。紫月さんが俺のことをとても大切にしてくれているからお義父さんって呼んでいるだけなのに。それなのにどうして気持ち悪いなんて言われないといけないんだ。

「まだ頭を冷やせてないみたいだな、クソ姉」

「頭を冷やさないといけないのは蓮夜の方じゃない? こっちに来なさい、疫病神。これは命令よ」
 姉ちゃんが紫月さんの後ろにいる俺に近づく。
「い、嫌だ、行かない」
「何よ、私に逆らう気? 私はあんたのせいで、踊れなくなったのに。あんたは罰を受けないといけない。そうでしょ?」
 紫月さんの服の裾を掴みながら、必死で声を張りあげる。
「ば、罰を受けるのは姉ちゃんの方だ。俺は、姉ちゃんのものじゃない!」
「は? あんたは私のものよ。私の玩具」
「いや、こいつは俺の子供だ。アンタのじゃねぇ」
 紫月さんが初めて俺のことを、自分の子供って言った!
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