僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい
家を飛び出して、俺は外に出た。
「蓮夜!」
紫月さんの声を無視して、全速力で走る。瞳から涙が溢れ出した。走るのをやめて、涙を拭いながら歩く。行く宛もないのに、俺は歩き続けた。
こんな弟いらない、か。 流石にそこまで言われるとは思わなかったな。 心臓が握りつぶされているみたいに、心が痛い。辛いとか、悲しいとかそんなありきたりな言葉ではとても言い表せないくらい、心が苦しい。
姉ちゃんに大切にされていないことくらい、とっくの党にわかりきっていたハズだった。それなのに涙は、一向に止まらなかった。たとえ大切にされていないことがわかりきっていたとしても、実の姉にいらないなんて言われたら、それなりにこたえる。いや、かなりこたえる。
たかが姉、されど姉だった。どんなに暴力を振るわれようと、俺は姉ちゃんが好きで、化け物みたいに怖い姉ちゃんのことが、とても大切だ。
でも姉ちゃんはそうじゃなくて、俺をいらないって言った。でもその割に、指を舐めさせようとしたり、いい子って言ったりとか、嫌いだと思っているならしそうもないことを姉ちゃんはした。そのせいで、俺の心は滅茶苦茶だ。嫌いなら一瞬も優しくしないで、ずっとひどく扱って欲しかった。でないと、嫌いじゃないのかなって思ってしまうから。
姉ちゃんは虐待のことを他人にバラさないためだけに、俺に時折優しくする。ひどい怪我をさせたらお粥を作ったり怪我の手当てをしたりして、俺が一刻も早く学校に戻れるように手筈を整える。姉ちゃんは自分のためだけに、俺に優しく接している。それなのに俺は姉ちゃんに優しくされるたびに、俺のことを大切にしているから優しくしてくれるんじゃないかって思ってしまう。そうじゃないとわかっているのに、頭は嫌でもそう考えてしまう。