意地悪な副社長との素直な恋の始め方


朔哉と芽依は、これまでずっと、お互いの誕生日を二人きりで過ごしてきた。
それは、二人が兄妹になった時からの、変わらぬ習慣だと聞いている。

本妻の子と愛人の子。
立場はちがうが、共に母親と呼べる存在は既になく、仕事に忙しくて父親も不在がちの中、寄り添うようにして生きてきた二人が、普通の兄妹以上に強い絆で結ばれていても不思議じゃない。

ましてや血が繋がっていないとなれば、やがてそれが兄と妹を超えた感情に発展したとしても――。



大きくなりかけた感情の波を宥めるために、ベッドを離れ、庭へ出た。

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