意地悪な副社長との素直な恋の始め方


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お互い、新婚で身重の妻がいる身。寄り道はほんの一時間で切り上げた。

タクシーの中、福山がお遊びで作ったアプリをさっそく試してみる。

回答は、基本的にプルダウンで選べるようになっているらしい。

自分のプロフィールを入力したあと、相性を占いたい相手のプロフィールをニックネーム、性別と生年月日から入力していく。

占うのに本当に必要なデータは生年月日と性別くらいなのだろうが、「お遊び」であるから余計な情報も入力させられる。


(容姿は、……小動物系、じゃないな。しょうゆ顔でもない。くどいのは化粧で……)


消去法で残った選択肢は、「悪役顔」だ。


(本人に見せるわけじゃないし、まあ、いいか)


(身長……高い、低い……は? キスするのにベストな身長差? これだな)


(体重……ぽっちゃり、太い、やせぎみ、可もなく不可もなく……最後は……「口外してはいけない極秘情報。誰かに漏らした日には、命を狙われる危険アリ」。これだな)
 
(好物は……フリーで入力か。マカロンだな)

(性格……流されやすい、頑固、穏やか、短気、癒し系……では、ないな。小悪魔? 小はいらない気もするが、ほかに選べないしな……)

(口癖?「無理」)

(改善してほしいところは……偉そうな、いや、ムカツク義兄だろ)

(備考は、付け加えるべき重要な情報を入力。「元ギャル」だな。ああ、「注意!キレると危険」も入れておくか)


すべて入力し終わって、「占う」ボタンをタップする。

画面が切り替わり、数秒間またされた後、表示された占い結果に噴き出しそうになった。


『おめでとう! 相性百パーセントです』


そんな決まり文句の下には、吠えるライオン(さくや)と毛を逆立てた猫(しづき)が、とても仲がいいとは思えない様子で対峙するイラストが描かれていた。


『共通点はどこにもありませんが、恋は理性で落ちるものではありません。本人たちが幸せならそれでいいのです』



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