意地悪な副社長との素直な恋の始め方
おそらく、どんなプロフィールを入力しても、相性は百パーセントになるにちがいない。
このアプリの利用目的は、精度の高い「占い」結果を知るためではない。
日常の中で、見過ごし、忘れてしまっている相手のことを改めて見つめ直し、自分の気持ちを確認するための「ツール」だ。
(偲月が、この結果を見て何て言うか聞いてみたい)
そんなことを考えながら、タクシーを降りる。
今日は、日村さんのところに行く以外の用事はないと言っていたから、家にいるはずだ。
エレベーターを降り、玄関ドアを開ける。
「ただいま……?」
しんと静まり返った部屋に、何となく不安と違和感を覚えながらリビングへ。
福山と会うので夕食はいらないと言ってあったが、なぜかその姿はキッチンにあった。
冷蔵庫の前に座り、中に収められた白い箱を見つめている。
「どうしたんだ? 偲月」
「マカロン……」
偲月は、振り返りもせず、ぽつりと呟く。
冷蔵庫にあるのは、昨日買ってきた彼女の大好物である『SAKURA』のマカロンだ。
以前一ダースでは足りなかったようなので、今回は二ダース買ってきた。
「マカロンがどうした?」
「……もうないの」
「は?」
「全部食べちゃったの」