意地悪な副社長との素直な恋の始め方
「それはそうと……ちぃちゃん、泣いちゃったの?」
「あぁーっ!」
偲月にしがみついていた千陽は、何事かを訴えながらシゲオに手を伸ばす。
「なぁに? 抱っこしてほしいの? もー、甘えん坊さんねぇ」
易々とその身体を抱き上げたシゲオへ満面の笑みを向ける千陽の様子に、ショックを受けて茫然としてしまう。
(どう考えても、シゲオの方が千陽に関わる時間が少ないはずなのに、なぜだ!)
「朔哉? 荷物積む?」
「あ、ああ、大丈夫だ」
スーツケースに手を伸ばそうとした偲月を押し止め、ワゴンの後部座席にマカロンクッションと一緒に放り込む。
この状況で、チャイルドシートに収まった千陽の横に座る勇気はなく、助手席に乗り込んだ。