意地悪な副社長との素直な恋の始め方
なおも何かを言おうとする偲月の口を塞ぎ、柔らかな身体を堪能する。
己の欲を満たしたい気持ちを抑え、偲月が焦れて、泣き出すまでたっぷり甘やかした。
ひと月ぶりに抱く妻に、一度で満足するはずもなく、帰ると言い出せないくらいまで疲労困憊に追い込んで、ようやく満足する。
「何か……やっぱり、意味ちがう……」
普通のソファーよりは広いが、ベッドよりは狭い。
背後から偲月を抱きかかえるようにして微睡んでいると、ぼそっと呟くのが聞こえた。
「気のせいだろ」
「気のせいじゃない」
「愛してる」
「…………んで、いきなりそういうこと言うのっ!?」
振り返った偲月は、顔を真っ赤にして怒った。
普通、愛を告げて、感動のあまり泣かれることはあっても、怒られることはあまりないのではないか。
しかし、意外性の塊。
予測不能な行動をする偲月の場合、それも不思議ではない。
「これから言うぞと宣言して言うようなことじゃないだろ」
「み、脈絡が、ないでしょっ!」
「ある。ひと月ぶりに会う。誕生日。甘やかす。気が済むまで抱く。つまり、愛してるからするんだろ」
「そうだけどっ!」
「素直になれ」
「朔哉に言われたくないっ!」
「俺は、結婚してからは、素直な言葉を口にするよう心がけている。たとえ意地悪だったとしても、それは素直な気持ちだから諦めろ」
「はぁっ!?」
「言いたいことは、言った方がいいぞ。貯金とちがい、溜め込んでもいいことはないからな」
「……朔哉なんて……朔哉なんてっ! だい……ダイ……」
最初は勢いの良かった偲月の言葉尻が急に萎む。
じっと見つめ、その先を待っていると、甘えるように喉元に顔を埋めて呟いた。
「大っ嫌い……じゃないかもしれない」