意地悪な副社長との素直な恋の始め方
笑えば、さらに怒らせるのはわかっていたが、どうにも堪え切れなかった。
脇腹をつねられたくらいでは、とても治まらない。
偲月といれば、笑わずにはいられない。
微笑むこともあれば、声を上げて笑うこともある。
表情には出さなくとも、心の中で笑うこともある。
泣きたくなっても、涙を流しても、その先で笑える時が来ると信じられる。
だから、この先に辛いこと、苦しいことが待ち受けていたとしても、きっと大丈夫だと思えるのだ。
たとえ、娘にパパ見知りされたとしても。
「俺も、偲月なんて大嫌い……じゃないかもしれない」
「意地悪……」
素直になれない妻に囁くのは、意地悪な愛の言葉がちょうどいい。


