婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
やはり採取に関して素人のアレクシアでは簡単に見つけることはできないようだ。

「長い茎から一列に白い花がぶら下がっているんです」

形は比較的珍しいが、花弁の色はごくありふれた白のため、遠目には分かりづらい。

しばらくの間、目を凝らして探していると、水辺に程近い木の根本でそれを見つけた。

「あ、これかもしれない」

しゃがみ込んでしっかり確認する。緑の弦につり下がった四つの白い花。

アレクシアは持ってきていた採取用の袋を鞄から取り出して、光魔法で覆った花を大切にしまう。

「その花を探せばいいんだな?」

一連の作業を見ていたメイナードが言った。

「はい。あと十個は欲しいです」

次にいつ来られるか分からないから、ある程度は欲しい。

「それだけで足りるのか?」

メイナードが怪訝そうにする。

「たくさんあるに越したことはありませんが、採りすぎると次の年から花が咲かなくなるから、ほどほどにしないといけないんです」

祖母から教えられたことだ。

父が再婚して少し経った頃、、アレクシアは母の実家リリー子爵家に住まいを移し、そこで面倒を見てもらっていた。

後妻のパメラが体調を崩し、アレクシアの世話ができないからと言う理由だったけれど、おそらく体よく追い出されただけだ。
アレクシアとしては冷たい空気が流れる実家よりも、祖父母の家の方が、居心地がよくて好きだった。
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