婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
(もしかしてさっきのは魔獣の鳴き声? こちらに近づいてきているの?)
遭遇の可能性は高いと分かっていたし覚悟していたはずなのに、いざ戦闘になるかもしれないと思うと不安になる。
それでも足手まといにならないように、口を閉ざし息を潜めた。
アレクシアの緊張の高まりと比例するように、鳴き声が近づいてくる。
(もうすぐ側にいるみたい)
ただどちらの方角から来るのか、分からない。
周りでは樹々が風に揺らいでざわざわと音を立てていて、感覚を鈍くするのだ。
高まる緊張の中、メイナードが冷ややかに告げた。
「来るぞ」
護衛ふたりが彼の言葉に応えるように前に出て、剣を構える。とそのとき、激しい突風が巻きあがった。
砂煙が襲ってきてアレクシアは目を瞑る。ぎゃあと悲鳴のような獣の絶叫がした。
風が収まるのを肌で感じ、アレクシアは恐る恐る目を開いた。
「……っ!」
思わず声にならない悲鳴を上げた。視界の先には屈強な騎士の二倍はありそうな大きな四つ足の獣が、横向きに倒れていたのだ。腹部からはどす黒い液体が流れ大地に吸い込まれていく。
生まれて初めて見る魔獣と、その凄惨さに血の気が下がった。
「大丈夫か?」
メイナードに心配そうに問われても、問題ないと微笑むことができない。
引きつった顔で頷くだけで精一杯だった。
(魔獣とは本当に恐ろしいものなのだわ)
遭遇の可能性は高いと分かっていたし覚悟していたはずなのに、いざ戦闘になるかもしれないと思うと不安になる。
それでも足手まといにならないように、口を閉ざし息を潜めた。
アレクシアの緊張の高まりと比例するように、鳴き声が近づいてくる。
(もうすぐ側にいるみたい)
ただどちらの方角から来るのか、分からない。
周りでは樹々が風に揺らいでざわざわと音を立てていて、感覚を鈍くするのだ。
高まる緊張の中、メイナードが冷ややかに告げた。
「来るぞ」
護衛ふたりが彼の言葉に応えるように前に出て、剣を構える。とそのとき、激しい突風が巻きあがった。
砂煙が襲ってきてアレクシアは目を瞑る。ぎゃあと悲鳴のような獣の絶叫がした。
風が収まるのを肌で感じ、アレクシアは恐る恐る目を開いた。
「……っ!」
思わず声にならない悲鳴を上げた。視界の先には屈強な騎士の二倍はありそうな大きな四つ足の獣が、横向きに倒れていたのだ。腹部からはどす黒い液体が流れ大地に吸い込まれていく。
生まれて初めて見る魔獣と、その凄惨さに血の気が下がった。
「大丈夫か?」
メイナードに心配そうに問われても、問題ないと微笑むことができない。
引きつった顔で頷くだけで精一杯だった。
(魔獣とは本当に恐ろしいものなのだわ)