婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
できるだけ丁寧に血を落としていく。

(手当の仕方を習っておいてよかった)

知識だけで経験が不足しているため手元はおぼつかないが、それでもどうすればいいのか手順はわかる。

傷口を綺麗にした後は、傷薬を塗る。これはアレクシアが作ったものだ。

薬の瓶を手にしたとき、ふと不安になった。

「どうした?」

メイナードが訝しそうにする。

「先ほど治癒魔法が効かなかったのは、なぜでしょうか」

「俺にも分からない。城に帰ったらルーサーに聞いてみよう。あいつは魔法についてかなり詳しい」

「はい。それからこの薬なんですが私が作ったものなんです。つまり私の魔力が少し入っているのです。これを旦那様に使って大丈夫か心配です」

治癒魔法が害になったのだから、同じ魔力入りの薬もよくないのではないか。

メイナードは今度はしばらく考えてから、口を開いた。

「塗ってみてくれ。異変があったら言う」

「いいのですか?」

「ああ。薬も使えないのかはっきりさせるためにも、今確かめておきたい」

「……分かりました。では初めは少しだけ」

アレクシアは薬を少量、小さな木べらに取りメイナードの傷口にそっと塗る。

「どうですか?」

心配で恐る恐る問いかける。

「なんともない」

「本当に?」

「ああ、さっき感じたような衝撃はまったくない」

彼の表情を見ても無理しているようには思えない。
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