婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
彼は当時十四歳だったが、国王の命令で初陣を飾ったと聞いている。

「そうだ。まだ経験が少なく、戦闘技術も未熟だったからよく怪我をしていたんだ。同行していた司祭には頻繁に世話になっていた」

「そうだったんですか……ではなぜ今は治癒魔法を受け付けないのでしょうか」

メイナードの体質が変化したか、あるいはアレクシアの魔力に問題があるのか。

「……闇魔法のせいかもしれない」

「え?」

「光と闇は反発すると言う。だからアレクシアの魔法が合わなかったのだろう」

「でも、メイナード様は炎の魔法を使うのではないのですか?」

国の英雄だった彼についての情報は、過去に関して言えばかなり多く知れ渡っている。

業火で敵を焼き尽くし、国を救ったと称えらえていたはずなのに、闇魔法とはどういうことだろう。

メイナードは躊躇うように目を伏せたが、数秒後には覚悟したようにアレクシアを見た。

「この痣ができ始めてから闇属性の魔法を使えるようになったんだ。大きく広がるほど闇の魔力が高くなっていった」

「魔力と比例しているということですか?」

「そうだ、理由は分からないが。治癒魔法を受けなかったのは、強くなり滅多に怪我をしなくなったのが大きいが、司祭にこれを見せるわけにはいかないからだ」

「……」

メイナードは負傷してない方の袖をまくった。

古代文字に似た柄が、まるで蔦のように肌の上を走っている。
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