婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
唖然とするアレクシアに、メイナードは戦から帰還してから母が亡くなるまでの出来事を語ってくれた。

それはにわかには信じられないような出来事で、しばらくの間言葉を発することすらできなかった。
メイナードの話が終わると、部屋に沈黙が広がる。

アレクシアははあと大きく息を吐き、それからなんとか口を開いた。

「つらいことなのに、話して下さりありがとうございました」

「いいんだ」

「あの、母君は文様が広がるにつれ弱っていたとのことですが、旦那様は大丈夫なのですか?」

見たところ彼の文様は全身に広がっているから、心配だった。

「俺は平気だ。母上となにが違うのかは分からないが、不調どころか力が強くなっている」

「……病とは思えませんね」

「ああ」

(でも、だったらどういうことなの?)

本当に世間で噂されるような呪いだとでも言うのだろうか。

原因が分からないのは怖い。もし急にメイナードの体に異変が起きたら。

想像すると背筋が凍った。

(本当に治せないの?)

メイナードは諦めているようだが、アレクシアは割り切れない。

どうしても彼を治したい。そし安心してふたりで暮していけたら……。

(ああ、私は旦那様が好きなんだわ)

いつの間にか、彼との未来を夢みるようになっていた。

本当の夫婦に、家族になりたいと願っている。

そのためには、どうすればいいのだろう。
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