婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
翌日城に戻り、その日は休んで翌日から通常の生活が始まった。
午前中には作業場に入ったアレクシアは採取して来た素材をマナカに渡してから、自室から持ち込んだ分厚い本を広げた。
ほくほくした顔で収穫物を見ていたマナカは、しばらくするとアレクシアの本を覗き込んできた。
「なんの本なんだい?」
「これはお祖母様がくれたものなんですが、魔法について詳しく書かれているんです」
「魔法? 光魔法以外も学ぶつもりなのか?」
「はい、解呪魔法について勉強したくて」
そう答えると、マナカははっとした顔をした。
アレクシアがなぜ解呪魔法を調べているのか、その理由に察しがついたのだろう。
「解呪魔法ってのは難しいよ。知識を得たからといって簡単に使えるものじゃないと聞いている」
「マナカは使い手を知っているの?」
アレクシアは本から視線を上げて、マナカを見る。
「隣国にいた頃ひとりだけ。その解呪士は呪いを解くのと同時に病の治療もしていたから、ときどき薬を買いに来てたんだよ」
「その人と連絡を取ることはできない?」
メイナードを見てくれたらなにか分るかもしれない。それが駄目でも、解呪について、本に載っていないようなことを知っている可能性がある。
一気に期待を膨らませたが、マナカにあっさり断られてしまった。
「連絡が取れても、公爵様の治療は無理だよ。前公爵様が生きていた頃、何人もの解呪士がこのサザラント城を訪れたそうだ。理由は分かるだろう? でも誰も手に負えなかったそうだ」