婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「今さら誤魔化さなくていい。王家の間者が紛れていることには気づいていた」

セラが信じられないとでも言うように、目を見開く。メイナードは構わず続けた。

「俺の呪いの痣が消えたのははアレクシアのおかげだと考えているようだが、その彼女を必要としているということは、王太子は俺と同じように呪われでもしたのか?」

可能性は半分くらいだった。鎌をかけたのだ。

そしてセラの反応は、確定だと物語っていた。

「なるほどな……王太子が」

原因は不明だが、イライアスにもメイナードと同じ漆黒の文様が現れたのだ。

「事情は分かった。妻と話し合った後に返事をしよう」

メイナードは複雑な感情を隠してそう言い、祈るように両手を合わせるセラを置いて部屋を出た。

「え、王太子殿下に、メイナード様と同じ黒い文字が?」

セラとの話を伝えると、アレクシアは大きな目をさらに見開き、それから落ち着きなく視線を彷徨わせた。

「そんな……どうして?」

余程驚いているのだろう。

メイナードだって、かなりの衝撃を受けたからその気持ちはよく分る。

混乱している様子のアレクシアを落ち着かせるために、彼女の隣に腰を下ろした。

「原因は分からない。だが、イライアスはアレクシアの力を必要としている。俺のこの痣を消した力はたしかなものだ。きっと助けられるだろう」

アレクシアはゆっくりとメイナードを見つめた。
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