婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「でも……私は王太子殿下に会うのが怖いです」

「それは分かってる。無理をしなくていい。断るならそれでいいんだ」

メイナードはセラに対してたときとは比べものもないほど、優しい声で告げた。

この〝呪い〟の苦しさは誰よりも分かっているが、アレクシアに無理強いをして苦痛を味合わせたくない気持ちが大きかった。

そのためなら、イライアスを見捨てることも、王家との関係が悪化するのも構わない。

そう思うほど、メイナードは自分の妻に心を寄せていた。

(まさか、こんなふうになるなんてな)

押し付けられた妻のはずだった。

それでも初めから、絵姿を見たときから彼女に好感を持っていた。

誰もが避ける自分と結婚しなくてはならないことに同情したのと同時に、嬉しくも思っていたのだ。

それは一生独りで生きていくと決意したメイナードが、心の底で寂しさを抱えていたからだろう。
彼女を特別な存在だと感じるのは自然な心の動きだった。

そして、人柄を知るにつれ、好意が愛情に変化していった。

大切で、手放せない。メイナードにとって唯一の女性。

だからどんなときでも彼女の心も体も守りたい。


アレクシアは迷っているようだった。けれどしばらくすると吹っ切れたようだ。

「メイナード様、私王都に行ってきます」

メイナードは頷いた。

「王太子殿下と顔を合わすのは怖いけど、このまま無視をしたら後で後悔すると思うんです」

「分かってる」
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