婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「ああ、もちろんだ。ディナの望むようにできる限りのことをしよう」

メイナードの返事にアレクシアはにこりと笑った。

すぐに引き上げるつもりでいたが、少し話したいと言うアレクシアに促されソファーに並んで座った。

「明日、出発ですね。久しぶりの王都だと思うと緊張します」

そう言いながらも、アレクシアは嬉しそうだった。

「俺ほど久しぶりではないだろう?」

「そうですよね」

アレクシアは納得したように頷く。

「最後に王都に行ったのは公爵位を継いだときだ。遠巻きに眺められ、陰口を叩かれて、煩わしかったのを覚えている」

その頃にはいちいち傷ついたりしなくなっていたが、不快ではあった。

面倒事は嫌だったので、顔に出したりはしなかったが。

「王都では素顔をお見せになるのですか?」

「今のところは考えていない。顔を隠しても出しても注目されるのは変わらない。それなら他人が近づかないようにした方が都合がいい。俺が王都に行く目的はアレクシアを守り、イライアスの様子を探るためだ。なぜあいつに症状が現れたのか調べることで、この呪いの秘密が分るかもしれない」

「分かりました。メイナード様がそれでいいのなら、私はなにも言いません」

アレクシアがさらりと告げた言葉には、メイナードへの愛情と信頼が伺えた。そんな彼女に対する愛おしさがこみ上げる。

「アレクシア」
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