婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「今までアレクシア様がお召しにならなかった色ですが、絶対似合うと思います。さ、着替えましょう」

「ええ……」

期待に胸を膨らませながら、鏡の前に座り化粧をしてもらう。髪はディナの技術で繊細に結い上げ、黄金の髪飾りで仕上げをする。

ドレスに着替え全身が映る姿見の前に立ったアレクシアは、自分とは思えない姿に唖然として口を開いた。

「私ではないみたい」

いつもよりもしっかりした化粧なのか、いつもよりかなり大人びた印象になっている。

濃い色のドレスに金の髪が映えて美しい。

まるで自分とは思えない程に高貴な雰囲気に溢れ、決して侮れない公爵夫人がそこにいた。

しかも今さら気づいたが、このドレスの色は……。

「メイナード様の髪と瞳の色?」

口にすると胸が高鳴った。夫の色に身を包む喜びと恥ずかしさが体を熱くする。

そんなアレクシアに、ディナが満足そうに頷く。

「はい、公爵閣下の色に限りなく寄せました。最高に綺麗です。王太子殿下は今のアレクシア様を見たら、絶対に後悔します!」

「そ、それは言いすぎじゃない?」

「いいえ。王太子殿下だけでなく、城の人たちみんなアレクシア様に見惚れますよ。ああ、私も王宮に行けたらその様子を見られるのに」

皆がアレクシアを悪く言い蔑ろにしたことについて、ディナは相当腹に据えかねていたようだ。
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