婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
メイナードは照れているのか、反対の手で口元を覆っていた。

その後メイナードのエスコートで、馬車に乗り込んだ。

ブラックウェル公爵家のタウンハウスから王宮までそれ程距離はないので、あっという間に着くだろう。

馬車の窓からは見慣れた貴族街の風景が流れて行く。やがて白亜の宮殿がはっきりと見えて来た。

「宮殿が見えてきましたね。ついにと思うと緊張します」

アレクシアが胸に手を当てて言うと、メイナードが優しく微笑んだ。

「大丈夫だ。何が起きても俺が守る」

「メイナード様……ありがとうございます」

優しく頼りになる夫への愛情がこみ上げて、緊張が和らいでいく。

馬車が速度を落とし、ゆっくりと停まった。

「つきましたね」

「ああ」

メイナードがエスコートの為に、手を差し出す。大きな手に自分の手を重ねようとしたアレクシアはふと気が付いた。

「仮面を付けなくていいのですか?」

「ああ。このまま行く。状況が変わったんだ」

「何か有ったのですか?」

そう言えば、アレクシアが身支度をしているとき、屋敷内が騒がしかったような覚えがある。

人の出入りが有ったような……もしかしたら新たな情報が入ったのだろうか。

あれこれ考えを巡らすアレクシアを、メイナードが真剣な表情で見つめた。
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