婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
オーレリアはイライアスを一瞥してからアレクシアに視線を戻した。

「アレクシア様、お久しぶりですね」

「王太子妃殿下。ご無沙汰しております」

「お元気そうでよかった。報告を受けて知っていましたが、公爵と仲がよさそうですね」

「……はい」

アレクシアはオーレリアの様子に違和感を持ちながら相槌を打つ。

王都に居た頃から深い関わりはなく、知っているのは彼女の能力や成果などの表面的なことで、人柄を理解しているわけではなかったけれど、こんなに冷たい雰囲気の人物だっただろうか。

まるでイライアスのように身分が下の者を蔑む態度のような……。

(王太子妃になって変わったの?)

「アレクシア嬢、イライアス様のお顔を治してください」

戸惑うアレクシアに、オーレリアが頼んで来た。

「先ほど夫が申した通り、私は解呪の魔法を使えるわけではありません。薬を塗って気長に治していくことになります」

「薬? それはどの程度かかるものなの?」

「顔の部分だけなら十日程で」

オーレリアは眉をひそめた。

「顔の部分? では全身はどのくらいなの?」

「それは……はっきりは分かりかねます」

メイナードすらまだ体中の呪いが消えたわけではないのだ。

完全に消えるのかもまだ分かっていない。

はあ、とオーレリアは盛大な溜息を吐いた。

「使えませんね」

「え……?」
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