婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「それでは遅いのです。私たちは一亥も早く王位を継承しなくてはならないのですから。ほかの公務は私が代わりに行えますが、戴冠式だけは王自らが立たなくてはなりません。ですから今すぐにでもイライアス様を治す必要があるのです」

話が思いがけない方向に進んでいる。アレクシアはメイナードをさり気なく伺い見た。夫はとても険しい表情だ。

オーレリアはメイナードの怒りなど気にした様子もなく続けた。

「アレクシア様は城に滞在し、休まずに解呪にあたるように。これは王太子妃としての命令です」

アレクシアは愕然とした。

オーレリアはもっと冷静で思慮深く、慈悲の心のある人だと思っていた。だから物語の健気のヒロインと重ねられ、貴族や民の支持を得たのではないのだろうか。

(いくら王太子妃になったからと言って、人の都合を一切考えないこんな言い方は酷いわ)

しかも今はメイナードが一緒にいるのに。かつては英雄と呼ばれ、今は呪われた恐ろしい公爵として恐れられている人物を前にしても全く動じない。

以前イライアスが、オーレリアが危害を加えられ心も体も傷いたと言っていたけれど、それは本当なのだろうか。

こんなに強く堂々とした女性が、傷つき泣いて王太子に頼ることしか出来ないなんてあり得ないと思う。

もしかして、と今頃になってようやく気がついた。
< 182 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop