婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「いえ、まだ準備が整っていないので。公爵夫人が使用するには少し乱れているんですよ」

「そ、そうですか」

きっぱり断られてしまった。ものすごく汚れている作業場なのだろうか。

「では明日お迎えに上がりますので、細かな打ち合わせはそのときにしましょう」

「分かりました」

ルーサーは丁寧にお辞儀をしてから部屋を出ていった。

「アレクシア様、薬作りなんて引き受けてよかったんですか? 公爵夫人の仕事とは思えませんけど」

ふたりだけになった途端に、ディナが不満を零した。

「ええ。役目ができて嬉しいの。明日から楽しみだわ、ディナも手伝ってね」

「もちろん手伝いますよ、アレクシア様が嫌じゃないのなら、それでいいんですから。では明日に備えて今日は部屋に戻ってゆっくり過ごしましょう。お茶と軽食を用意しますね」

「ありがとう」

メイナードとの関係は相変わらずだが、久々に前向きな気持ちになっていた。

(少し復習しておこうかな)

持参した少ない荷物の仲に、祖母から譲り受けた薬作りの基本を記した書物がある。

アレクシアはウキウキしながら、翌日を待った。
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