婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
アレクシアに近付いてまた怖がらせるのは嫌だから、できればルーサーに頼みたかったが、先に釘をさされてしまっては仕方がない。

メイナードは礼拝堂から城内に戻るなり、アレクシアに外出を告げた。

彼女は驚いてはいたものの、残念そうにはしていなかった。

自分の判断は間違っていなかったと確信できた。しかしこの虚しさはなんだろう。

メイナードは憂鬱な思いを抱えながら手早く支度を整えた。そして精鋭の部下を引き連れて、間の森へ向かったのだ。

間の森はサザラント城から、騎士が駆る馬で半日程度の距離にある深い森だ。

その規模は広大だ。

光すら届かない森の奥には、まだ把握できていない箇所がいくつもある。

馬を飛ばし、半日もかからずに森に辿り着いたメイナードは、ブラックウェル公爵家の騎士たちが活動の拠点とする為に建造された砦に入った。

小規模だが堅牢な石作りの砦だ。

入り口近くの大部屋には、負傷した兵士が大勢集められていた。

起き上がれないほど、傷が深そうな者が呻き声を上げている。

比較的軽傷な兵士は重傷者の世話をしていたが、どう見てもよくない状況だった。

「公爵閣下!」

負傷兵たちの様子を確認しながら指示を出していた壮年の騎士が、メイナードに気づき駆け寄って来た。
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