婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
騎士団長の次に力を持つ騎士で、この砦に常駐し部隊の指揮を執っている隊長だ。

「かなりの被害だな。状況を説明してくれ」

メイナードは隊長を促し、砦の奥の作戦室に向かった。

部屋に入り大きな机の上座の位置にある席にメイナードが座ると、隊長は深々と頭を垂れた。

「公爵閣下自らお出ましいただく事態になったこと、大変申し訳なく思っております」

「上級クラスの魔獣が出たのなら無理はない。それで状況は?」

隊長は下座の椅子に腰を下ろしてから、再び口を開く。

「はい。グリュプスと思われる魔獣が突如出現し、警戒に当たっていた兵士を襲いました。総員で応戦しましたが、追い払うので精一杯でした」

グリュプスはライオンと鷲の特徴を併せ持った魔獣だ。

飛行能力があり、戦闘力がとんでもなく高い。しかし間の森の奥深くに生息し、人が立ち入る一帯まで出てくることは滅多にない。

「グリュプスが出たのならそうするしかないだろう。防衛線はどこだ?」

「金の泉の近くです」

「分かった。俺が行く」

グリュプスに限らず、魔獣はとても執念深い生き物だ。

自身に傷を負わせた相手を決して忘れず、報復しようとする。

それゆえに戦闘になったら、必ず仕留めなくてはならないと言われているのだ。

メイナードは立ち上がり、今来たばかりの砦の門を目指す。

(なんとしても見つけなくてはならないな)
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