婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
執務でも、魔獣の盗伐でも日々の生活の細々したことでも、彼はなんでも真剣に取り組む。

一見すると、冷めた人物に思えるが、実際はそんなことはない。

恐らく、容姿の変化が起きてから性格が変わったのだろう。

詳しい事は聞いていないが、人間不信になるような出来事があったようだ。

メイナードの心は深く傷つき、そして今もその傷は癒えていない。

彼の苦しみを思うと胸が痛んだ。

なんとかして癒してあげたいと思う。ただその術はなくてやるせなさが募った。

「どうした?」

つい暗い顔をしてしまっていたのか、メイナードが心配そうに問いかけてきた。

「いいえ、なんでもありませんよ」

「……本当か?」

夫は優しい。人を寄せつけず避けているけれど、それは相手を怖がらせないためと、自分を守るためなのだととっくに気がついている。

優しい夫に余計な心配はかけたくない。

「今日のお肉料理は、旦那様の好きなソースで味付けをしてありますよ。楽しみにしていてくださいね」

メイナードの表情が明るくなった。早く肉を食べたいのか、人参スープを消化するスピードが上がる。
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