婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました


穏やかな食事が終わり、食後のお茶を飲んでいると、メイナードが改まった様子で言った。

「騎士の間で、あなたの薬が高く評価されている。必要量が多く苦労をかけるが、これからもよろしく頼む」

「本当ですか? 皆の役に立てているなら私も嬉しいです。最近新しく作った薬は、効果はそこまで高くないものの、傷と体力どちらも回復を促すものなんです」

マナカと合同で開発し、ようやく完成した薬だ。致命傷のときなどは使えないが、小さな怪我のときには便利だろう。

「ああ、聞いている。砦の隊長はもっぱらその薬に世話になっていると言っていた」

「砦を守る部隊の責任者の方ですね」

多分、とても強い力を持っていて、大きな負傷をしないのだろう。だから新薬の方がはまるのだ。

「そうだ。これまでよりいい働きができると張り切っていた」

「よかった。あの、旦那様はお使いにならないのですか?」

メイナードの感想も聞きたいのだけれど。

「俺は日ごろから戦いに出ているわけではないからな」

「そうですか……」

(怪我がないのが一番だから、旦那様の感想は諦めるしかないか)

それにメイナードは、先の戦の英雄だ。実際戦っている姿を見たことはないけれど、相当の強さを誇っているのだろう。

(薬は、怪我をしやすい一般の兵士向けのものの方が必要とされているのね、それならば)

「旦那様、実は近いうちに間の森に行きたいのですが」

余程驚いたのか、メイナードの目が大きく見開く。

「あなたがか?」

「はい」

「なぜ? あそこはのあなたような令嬢が足を踏み入れるような場所ではない。危険だ」

メイナードの眉間には深いしわが寄っており、断固反対の意思が見て取れた。

(これは簡単に許してもらえそうにない)

アレクシアはひと息ついてから口を開いた。なんとか説得するのだと決意のもとに。
< 95 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop