婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
今日のアレクシアは、動きやすいワンピースにロングブーツ。丈夫な皮の外套を羽織っている。
長い髪は邪魔にならないように、しっかりまとめている。

「行こう」

メイナードに促され、広間から城の外に向かう。

間の森の砦までは本来馬で半日かかる距離だが、今回は乗馬が苦手なアレクシアがいるので、ルーサーの転移魔法で送ってもらうことになった。

厩(きゅう)舎(しゃ)近くの広場に、メイナードと彼の愛馬と共に並ぶ。

「アレクシア様、心の準備はできましたか?」

初めての転移魔法に緊張するアレクシアに、ルーサーがくすりと笑いながら声をかけてくる。

「ええ。でも少し緊張しているわ。転移ってどんな感じなのかしら」

「なにかを感じる前に着いていると思いますよ。目を開けたら辺りは森になっているので、驚かないでくださいね」

「分かったわ」

アレクシアが答えると、ルーサーは頷いた。

「では目を閉じて。おふたりともお気をつけて。いってらっしゃいませ」

その言葉と共に、体がフワリと浮いた感覚がした。

そして、「もう目を開けて大丈夫だ」と囁くメイナードの声で目を開くと、目の前にはどこまでも続く、深緑色の森があった。

「わあ……すごい」

アレクシアは広大な森の光景に圧倒されながら、くるりとうしろを振り返った。
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