政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
「え? 猫を?」
 その日の翔吾は、朝言っていた通り、帰りが遅かった。
 いつもなら柚子は彼を待たずに先に寝る。
 まだ結婚して半年も経たない新婚夫婦の妻としてはどうかとも思うけれど、彼がそうしてくれといつも言っているからだ。
 でも今日は起きて待っていた。
 思わず拾って帰ってしまった猫について話をしなければならないからだ。
 黒猫を家に入れてから柚子はもう一度買い物へ行き、とりあえず必要な物を買ってきた。
 ご飯を食べてお風呂にも入った猫は、見違えるようにふわふわになって満足げに柚子の膝を占領している。
「勝手なことをしてごめんなさい」
 柚子は猫を撫でながら、眉を下げてうつむいた。
 あの時は、この子には自分が必要なのだという気持ちになって思わず家に入れてしまった。
 けれどよく考えてみればその場で、彼に確認をとるべきだったのだ。
 一緒に住んでいるのだから。
「誰か引き取り手が見つかるまではここに置いてあげてもいい? なるべく翔君の邪魔にならないようにするから……」
「それはべつに構わないけど、……引き取り手を探すのか? 柚子が飼うんじゃなくて?」
 ネクタイを外しながら首を傾げる翔吾の言葉に、柚子は顔を上げる。
 そして恐る恐る尋ねた。
「……飼ってもいいの?」
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