政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
「いいよ、もちろん。柚子、実家では昔猫を飼ってただろう。このマンションはペット可だし」
「嬉しい!」
 柚子は思わず声をあげる。
 柚子ははじめ、本当に引き取り手を探すつもりだった。でも、翔吾が帰ってくるまで部屋で一緒に過ごすうちにすっかり情が移ってしまったのだ。
 いつもは翔吾は帰りが遅い。
 柚子はその間はひとりでマンションで過ごすわけだが、その時間は長く寂しいものだった。でも今日は猫の世話をあれこれしているうちにいつのまにか時間が経っていたのだ。こんな風に一緒に過ごせる存在がいれば、寂しい新婚生活も少しは楽しく過ごせるかもしれない。
 そう思いはじめていたのだ。
 柚子は嬉しくなって、膝の上の黒猫に話しかける。
「よかったね、クロ!」
 それに翔吾が吹き出した。
「……なに? 翔君」
「飼う気満々じゃないか。名前まで付けて」
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