政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
初デートの誘い
 翔吾は土曜日の夕方に帰ってきた。
 トラブルの対応だったというだけあって、その表情にはやや疲労の色が滲んでいる。
 それでも夫婦の寝室でジャケットを脱いだ彼は柚子に優しい言葉をくれた。
「なにも困ったことはなかったか? 体調はどうだ?」
 一瞬どきんとしたものの、柚子はそれに頷いた。
「うん、大丈夫。なにもなかったよ」
 本当は彼がいなかった四日間、ほとんどベッドで過ごしたけれど、まさかそれを言うわけにもいかないからだ。
 翔吾は柚子が妊娠していると思っているのだから、そんなことを言ってしまったら、余計な心配をかけてしまう。
 幸いにして体調は万全とは言えないものの、少し戻りつつある。
 ずっと食欲はなかったが、今日は、サラダのトマトを少しだけ口にすることができた。
 翔吾がネクタイを外しながら、微笑んだ。
「よかった」
 柚子の胸がきゅんとなる。
 大好きな彼のこの笑顔を柚子はあと何回見ることができるだろう。
 襟元をくつろげた翔吾は、ベッドに歩み寄りそのままそこへ腰を下ろす。そして柚子を見上げて、少し意外なことを言った。
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