政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
「でもせっかく想いが通じたのに……。仕方がないのはわかってるんだけど……。大丈夫かな俺、我慢できるだろうか。いや、我慢するしかないんだけど、でも今まで意識して優しくしてた分の反動が後で出てしまいそうだ。そもそもあんなんじゃ全然足りなかったのに……」
 真剣な表情でそんなことを言う翔吾に、柚子は絶句してしまう。
 もしかして今彼が言っているのは、結婚してからの金曜日の夜の話だろうか。
 たしかにこれまでの夫婦の夜はこれ以上ないくらい優しくて、どこかいつも遠慮がちでその分とても寂しかった。
 でも柚子を夢中にさせるには十分すぎるほど十分で、いつも柚子は、最後は記憶が曖昧なくらいだったのに……!
 あれが全然足りなかった……?
「でもまぁこれからは、時間はたっぷりあるからな。最終的にはもっと遠慮なく柚子をかわいがれると思うと、いつまでも待てそうな気がするよ」
 なにやら不穏な言葉を口にして、翔吾はにっこりとして柚子を見る。
 そのこれ以上ないくらい優雅な笑顔に、柚子は唖然とするのだった。
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