恋歌-Renka-
しかし、帝は私を見ようともせず
ついには机に顔を伏せてしまった。
あの告白以来
残りの夏休み中はもちろん……
新学期が始まっても
彼は私に関わろうとは
しなかったーーーーー
それは他のみんなも知っていて
私たちの関係をそっと見守って
くれている。
“俺は花音が好き、だから俺を好きになりなよ“
今でも頭の中で
何回もリピートされる
帝の言葉………
あの悲しげな笑顔
最後に私を冷たく突き放した
光景が忘れられないまま
すっかり彼との離れた距離に
慣れてしまったーーーーー
「涼太!」
なのに………
「何だよ、美保」
彼女が彼を名前で呼ぶ度に
彼が彼女を名前で呼ぶ度に
グサッグサッ
っと鋭いナイフで
刺されたように胸が痛む。
「あたしの男装よーく見てなさいよ!超超超ちょーーーーー美男子になってやるんだから!!」
「言ったな?美男子じゃなかったら罰ゲームな」
「う、受けて立とうじゃないの!!や、約束ね!」
顔を真っ赤にしながら
美保は小指を差し出す。
その小指に自分のを
絡めて「ああ、約束」と微笑む帝。
ズキッ
私以外の人の前で
そんな笑顔で笑わないで
そんな事を思ってしまう私は
やっぱり病気なのかもしれない。