空を舞う金魚
「あの……、お会計ってどうなりました? 私、出してないですよね?」
「ああ、それはあとで清算したレシート見せるから、取り敢えずシャワー浴びてきたら? 私もそのあと入るし」
そうか。千秋が滝川のバスタイムを邪魔してるんだ。慌ててお風呂を借りる。頭から湯を浴びながら、記憶のある限りを整理する。今日は滝川さんが誘ってくれた飲み会だった。店に行くときに……、そうだ、渡瀬くんと一緒に行って、それで……。
(そうだ……。渡瀬くん、ドイツに行くって……)
あの時のやり取りを思い出す。渡瀬くんは千秋の返事を先延ばしにした。何時までに答えれば良いんだろう。砂本さんとのことだって、ちゃんとしなきゃいけない。
(……だって、言ってくれたのは砂本さんが先だわ……)
あの時千秋が応えられなかったから先延ばしになってたけど、もう何度もデートを重ねていたし、ちゃんと返事をしてお付き合いを始めていても良い筈だった。千秋がちゃんとしなかった為に、二人に迷惑をかけることになってしまった。
シャワーのコックをきゅっと締める。兎に角、このままこの関係を放っておいては駄目だ。
(……言わないと……)
千秋が立ち止まったままだったのが悪かった。だから千秋が一歩を踏み出して、彼らに言わなきゃいけない。千秋は心を決めた。