空を舞う金魚
家に帰って自室に籠る。ベッドに寝転んで砂本さんに貰った名刺の裏を眺めた。

…どうしよう。砂本さんの事は好きだけど、それは職場の先輩に対するそれで、砂本さんが千秋に寄せる気持ちと一緒じゃない。

―――君にも僕のことを分かってもらうのに時間が掛かると思うんだ。

砂本さんはやさしいと思う。普通だったらすぐに返事を要求するところだろうに、まず知ってもらう事からと言い出すところなんて、千秋を思いやってくれていると思う。

……悪い人ではないことは、知っている。

じゃあ、もっと知っていけたら? 今度こそ千秋も『金魚』になれる…?
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