空を舞う金魚

二人で買い物を終えてそろそろ解散しようという時に、滝川が砂本からの伝言を教えてくれた。もっと早くに教えて欲しかったけど、今日一日滝川と気分転換できたことで、頭の中が少しすっきりしてる気もする。それを滝川は見越して誘ってくれたんだなと思うと、文句は言えなかった。

「帰宅途中に連絡入れると帰るまで心配するから、家に帰ってから連絡入れてあげてね」

滝川は最後まで気遣いを忘れなかった。ありがとうございますと礼を言って改札を潜る。初めて入った店で買い物をしてしまった高揚感が千秋を満たしていた。世の女の子たちは、こういう楽しみを知っていてショッピングをするんだな、と、少しわかった気がした。

ホームに入ってきた電車に乗り込み吊革につかまると、電車の規則正しい振動に揺られて窓の外を見る。七月の七夕の頃に比べて、随分夕刻の景色が変わっていて、空の朱金をした雲の縁はもの悲しさを感じさせる。たった今まで楽しかった反動なのか、直ぐに誰かに会いたい、という気分になる。
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