空を舞う金魚

「綾城さん、十一月誕生日でしょ。当日はおうちでお祝いしたりするの? 僕にもお祝いさせて欲しいな」

砂本が千秋の誕生日を知っていたことに驚いたし、そういうことは考えてなかった。例年通り家族でお祝いしてくれると思うけど……。

「……多分、家族がなにかしてくれると思います。あの、別の日でも良いですか?」

「勿論だよ。ご家族も綾城さんの誕生日を大事に思ってらっしゃるだろうし」

千秋の予定を優先してくれる砂本はやさしいと思う。ほっとして千秋も言葉を続けた。

「砂本さんのお誕生日もお祝いさせてくださいね。いつですか?」

「僕は五月だよ。まだ先だね。でもお祝いしてもらえるのを楽しみにしてるよ」

砂の中で息をしてきた千秋にとって、未来の予定について話せることは心が弾む出来事だった。その日その日を繰り返してきたから、カレンダーに彩りが添えられるのを嬉しく感じる。
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