空を舞う金魚

「……先の予定の話が出来るのって、こんなに楽しいことだったんですね」

千秋がそう言うと、そう? と砂本は言った。どうやらその感覚は分からないらしい。

「楽しみな予定が待ってるって思ったら、これから毎日楽しく過ごせそうです」

「ああ、そういうこと。……綾城さんはスケジュール帳に何か予定を書いたりしたことはなかったの?」

学校や会社の行事などはメモするけど、個人的なスケジュールは何も書かなかった。書くことがなかったのだ。

「特に親しい友達がいたわけでもないので、お祝いするためのメモとかも書かなかったですし、趣味もたいしてなかったのでそういうメモもしなかったですね……」

「じゃあ、これから、僕との予定でスケジュール帳を埋めてね」

嬉しそうに微笑む砂本に、顔を赤くしながら、はい、と応える。……そうか。好きな人が出来ると、その人の予定でスケジュール帳が埋まるんだ……。なんだか照れくさい。

そう思っていた時に、スマホのアラームが鳴った。そろそろ帰らなきゃいけない時間だ。

「楽しい時間って、あっという間だよね」

「すみません、あまり時間を取れなくて……」
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