空を舞う金魚
「綾城さん、俺が嫌い?」
そんなわけない。嫌いだったら、肩を抱かれて安心なんてできない。返事が出来ないでいると、嫌いじゃないうちは振らないでよ、と渡瀬は微笑った。
「砂本さんと付き合い始めて一ヶ月も経ってないんだろ? そんな短い時間で判断してほしくないな。それに、今の状態はアンフェアだ。砂本さんばっかり綾城さんの点数稼ぎが出来る。そんな状態で判断されても、俺は納得できないよ」
「で……、でも、選べって言ったのは、渡瀬くんよ……」
「じゃあ、あの飲み会の時に飲めないお酒を飲んだのは何故? 様子がおかしかったのは何故?」
どくりと心臓が音を立てる。隠しておきたかった感情が暴かれる。もう、何も言わないで居て欲しかった。
「やめて……。もう言わないで……。決めたの。砂本さんと、お付き合いするって……」
「そうやって自分の気持ちに蓋したまま生きてくの? それが綾城さんの本当の人生なの?」
どうして渡瀬が千秋の気持ちを決めつけるのだろう。千秋は自分で選んだのに。