空を舞う金魚
千秋が望んだとおり、プラネタリウムに来た。周囲が暗くなるから、砂本と一緒に来ていることを意識しないで済むと思ったのだ。
やわらかな音色の音楽が流れ、周囲が暗くなっていく。椅子にもたれて見上げる空には満天の星が浮かんでいて、千秋は体の力を抜いた。
そこにふと触れるものがあった。ひじ掛けが砂本の席のそれと繋がっていて、砂本の腕と当たったのだ。
咄嗟に腕を引こうとした千秋の手を、砂本がきゅっと握った。そんなことをしてくるなんて思ってもいなくて、千秋は焦った。
……こんなこと、デートなら当たり前のことなんだろうか。そうなんだろうな。でも、手がもぞもぞして、なんだか居心地が悪い。
砂本の手は、大きくて厚みがあって、その感触に慣れない。
(恥ずかしい……。明るくなる前に、放してくれないかな……)
千秋が折角のプログラムに集中できないまま時間が過ぎていく。