空を舞う金魚
「あの……、……いきなりは……」
そう言って、手をグーパーさせてみた。それを見た砂本は、ふっと苦笑した。
「綾城さんは男の人に慣れてないんだね」
そう言う砂本は、きっと女性経験豊富でこんなこと指摘されたことないんだろうなあと思った。その女性(ひと)たちに比べたら千秋なんか、なんて経験がないんだろうと思う。たかが、手を握られたくらい、で……。
でも、砂の中にじっとしていた千秋は、何時も誰の目にも留まらなくて、こんなこと初めてだったのだ。
「ごめんね。もうしないよ」
お詫びにスイーツでもどう? と聞かれて、苦笑して頷く。砂本が強引な人でなくて良かった。千秋は今日初めて安心できた。