空を舞う金魚

「綾城さんに嫌われないように、僕も頑張るね」

そう言って朗らかに笑う砂本は、なんて懐が深いのだろう。千秋は砂本を前に、自分の小ささに恥ずかしくなった。

「……私……、……ごめんなさい……。そんな風に、考えたことが、なくて……」

「良いんだよ。僕も急だったからね。ゆっくり考えてくれたほうが、嬉しいよ」

コーヒーを傾けながら、そんな言葉までかけてくれる。チームの人が頼りにするだけあって、砂本の言葉は胸にすとんと落ちてくる。

砂本なら、千秋の記憶からあの失敗を消してくれるだろうか。そんな思いも沸いてきた。

(この人になら、……私の未来を、託せる……?)

心臓が静かに走り出す。それは焦りとは違う、未知の事への不安と期待の混じったそれだった。

「あの……、私、よく、考えます……。お返事、それからで、良いですか……?」

千秋の言葉に、そう言われるのを知っていたかのように砂本は深く微笑んで頷いた。

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