空を舞う金魚
「皆さんがお仕事に熱中されてる雰囲気の中に居られるのは、私もその一員になれるような気がして、嬉しいんです」
千秋の仕事は部内に事務が一人ということあり孤独な作業だ。だから活気あふれる砂本たちの仕事の様子が羨ましかったりする。仲間と話し合ったり、指示したりされたり。そう言う関係がこの部において千秋にだけ適用されないから、仕事をしていても何処か孤独を感じることもある。
勿論、部署の全員が千秋のことを頼りにしてくれているのも知っているので、寂しいとは思わないけれど、仲間という気持ちはちょっと持ちにくい。コーヒータイムに仕事の話で盛り上がる、なんてことも、千秋にはない。そういうのを、心の底で、良いな、と思っているから、従業員一人一人のカップ、ごみ箱のひとつ一つまで気を配ることで、仲間入りをしているつもりになっているのだ。
「綾城さんは、もしかして少し寂しがり屋なのかな?」
飲み会でさっさと帰っちゃうところからは、想像しにくいけど。
微笑みながらそう言う砂本に、頷くことも出来ずに困っていると、逢坂が砂本の後ろから顔を見せた。