空を舞う金魚
「砂本さん、踏み込みましたねえ。そんなこと、しないと思ってましたよ」
「なんでだ? 綾城さん、ああ見えて密かに人気あるでしょ? 焦ったっておかしくないじゃない」
いつも笑顔を絶やさない千秋は、部の共有の女神みたいなもんだ。誰かに盗られる前に捕まえておかなきゃ。
業後は時間が合わない。半期に一度一緒になる飲み会でも何時の間にか姿を消している。この前の飲み会の一次会の後、あのコーヒーショップで捕まえられた時に、もう言うしかないと思ったのだ。
「いつもするすると泳いで逃げて行っちゃうから、本気なら捕まえておかなきゃ駄目だと思ったんだよ」
だから、本人前に茶化すなよ。
砂本は逢坂にそう忠告した。逢坂は肩を竦めて応えた。