空を舞う金魚

「この前、業後に逢坂さんと砂本さんが話してるの、聞いちゃったのよね。砂本さんが本気だとか言うから、マジか~、ってなったわ。良いところに渡瀬くんが来てくれて、良かったね、千秋ちゃん」

決してそういうつもりはなかったし、なんなら今もまだお付き合い前だけど、そういう言われ方を否定すると、千秋も渡瀬争奪戦に参加するみたいで言えなかった。

「まあ、砂本さんが本気なら千秋ちゃんは安泰だよね。ホント落ち着いちゃいなよ、絶対オススメだから。なんて言ったって順当に出世街道だし、イケメンで面倒見も良いしね」

なんて、渡瀬くんの登場に浮かれて争奪戦に加わってる私が言うことじゃないけどね。

滝川はそう言って笑った。なんでも包み隠さず口にしてしまえる滝川を、羨ましいと思った。

「滝川さんのこと、凄いと思います……」

「あ、なに? ミーハーだなって思った?」

「あ、いえ、そんなことなくて、……自信があっていいなあと」

なにそれ、と滝川が笑う。屈託なく笑う滝川は女の千秋から見てもかわいいと思う。自分が出せない千秋よりも、よっぽど魅力的だと思う。

「なあに? あの砂本さんに好かれておきながら、自信ないの? 千秋ちゃんは」

「ないですよ……。何か特別なことが出来るわけでもないし、滝川さんみたいにかわいくもないし」
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