空を舞う金魚
「あはは、褒めてくれてありがとう。でも千秋ちゃんみたいにお淑やかでもないし、気配りも利かないしね。砂本さんの御眼鏡には敵わなかったらしいですよ?」
ふふふ、と微笑む滝川の言葉に頬が熱くなる。
「あんなイイ男を射止めたんだから、自信持たなきゃ」
そう言われても、自信って、内的条件が揃ったら持てるものだと思う。外的要因で持つ自信はメッキのように剥がれるから、千秋はあんまり信用してない。滝川みたいに、誰と付き合おうと、付き合ってなかろうと、仕事が出来ようと出来まいと、明るく笑っていられるような、そんな自信が欲しい。そう言ったら、滝川はそんな風に言ってくれて嬉しいわ、と微笑んだ。
「千秋ちゃんは、自信を持つのに十分な性格だと思うんだけどね。それを自分で認められないんだったら、私が言葉で言っても無駄だよね。自分で気付くまでは」
「そうですね……。自信が持てたら、もっと変われると思うんですけど、小さい頃からずっとこんなだから……」
そうかあ、と滝川は最後の玉子焼きを口に含んだ。もぐもぐと咀嚼して、左上を見るように自分の記憶を回顧したようだった。
「性格って変えられないのよね……。でも、性格が変わらなくても人生が変わる出来事はきっとあるから、千秋ちゃんも諦めないでね」
滝川の言葉にありがとうございます、と応じる。そんな出来事があると良いな、と千秋は思った。