空を舞う金魚
そんな風に千秋の記憶に彩りを加えてくれた人と、再会できるとは思っていなかった。七夕祭りの短冊に毎年願いをしたためていたけど、会えたら自分があの日の記憶から解放されると思っていたのに、実際再会したら、余計にあの日の記憶に捕らわれてしまっていて、身動きが取れなかった。
十年間でこんなに自信を無くしたのだと、改めて知った。そりゃあ、周りがきらきらとして見える筈だ。今だって、わあーっという歓声とともにボールを持った渡瀬くんが皆の真ん中で何かを一生懸命喋っている。
眩しいなあ。遠いなあ。……まだ手は届かないなあ。
そんな風に思う。皆と一緒に渡瀬や砂本を囲むには、千秋にはまだ自信が足りない。もう少し……、もう少し自信が付いたら、皆と一緒に彼らを囲むことが出来ると思う。その時には、彼らから言葉を寄せられても、きっと受け答えが出来ている筈だ。
そうなりたい、と千秋は思った。