空を舞う金魚
そんな千秋の気持ちを知ってか知らずか、渡瀬はベンチから立ち上がって千秋に声を掛けた。

「そんな顔してないで。ほら、砂本さんが来るよ」

そんな顔って、どんな顔だろう。顔を上げると川べりの方から砂本さんが此方に歩いてきていた。

「やあ、遊び過ぎたよ。……二人で何話してたの?」

何と応えていいものか迷っていると、渡瀬が口を開いた。

「ちょっと、思い出話を」

「ふうん?」

にこにこと微笑む渡瀬に、砂本はそれ以上聞かなかった。渡瀬が、遊んだ道具などを片付けている人たちの輪に加わりに行って、砂本がさっき渡瀬の座って居た場所に座る。
< 76 / 153 >

この作品をシェア

pagetop