空を舞う金魚
「渡瀬くんと思い出話って、なに?」
そうだよね。やっぱり気になるよね。
「……高校の頃の話を、少し……。……実は、同じ高校で……」
「へえ……。あれ? でも、最初に渡瀬くんに会わせた時、知らないって言ってなかった?」
「あ、ええと……、学生時代の話とか、会社でされても困るな……、って思って……」
嘘じゃない……。隠した理由の全部じゃないけど……。
「そうなんだ。じゃあ、今なら聞いて良いのかな。綾城さんの学生時代って、どんな学生だったの?」
砂本は千秋の言葉を疑いもせず、話を向けてきた。
「普通の学生でした。成績も真ん中くらいで、体育は少し苦手な感じで」
千秋の言葉に砂本が微笑んだ。
「今と変わらないね」
「そうですね、変わってないです」
本当に変わってない。そして、やり直しの機会が訪れるなんて、思ってもみなかった。
千秋が少し川べりの方を見てそう呟くと、砂本が眉を寄せて寂しそうに笑った。
「……羨ましいな」