空を舞う金魚
渡瀬くんと、……女の人。
綺麗なその人と歩いてる渡瀬を見て、背筋がぞわりと震えて、心臓がどくんと鳴る。急に、何も音が聞こえなくなった。
「……、…………」
鼓膜に自分の動悸の音だけが聞こえる。どくんどくんと心臓が激しく打ち、皮膚の内側からざわざわと気持ち悪い感じが湧きだして、じわりと手に汗を握る。どす黒い水が、胸の中を満たしていくようだった。
嫌だ……。こんなのは嫌だ……。
千秋の頭の何処かが、そう言ってる。